災害とペット

2004年10月23日午後6時前。
マグニチュード7の新潟県中越地震が発生しました。

2004年10月23日午後6時前。マグニチュード7の新潟県中越地震が発生しました。
震源地から離れているとはいえ新潟は地元です。
その日は出掛けるつもりで早めに犬たちに夕飯を与え、3階で支度をしていました。
「さて行きましょう」とバックを持ったときドンと下から突き上げるような音がし、
グラグラ揺れました。地震だ!と叫ぶなり和室へ飛び込みました。
ものすごい揺れで立っていられませんでした。
すぐに止んだもののこれまで経験したことのない揺れでした。
私は這いずりながら、箪笥の上の大切なテイファニーのランプを畳に置きました。

「今日は外出中止。」宣言したとたん余震!ガラスの割れる音が耳をつんざきました。
リビングに立て掛けていた大きな額が2枚飛んで、床で砕け散ったのです。
そしてまたもや激しい余震が来ました。
夢中でリビングに走って、今度は2メートル近い高さの前面ガラス張りの棚の前にしゃがみこみ、身体で支えました。ガラス棚が倒れたら「片付け」が大変だからです。
恐怖心が込み上げてきました。
本震の後の余震が間髪をいれず、何回も激しく繰り返されたからです。
犬たちが庭へ飛び出して、吼えている声が聞こえました。外は騒然としていました。
少し治まったので、一番上等なバックに現金だの免許書だの保険書だのをアタフタ詰め込みました。地獄の沙汰も金次第です。

階下へ降りていくと犬たちが一斉に集まりました。みんな脅えています。
ブルブル震え、しがみついて離れない子もいました。犬たちを置いて逃げられません。
テレビを点けると地震のニュース一色。震源地は小千谷市と長岡市でマグニチュード6強。
電気、ガス、水道、電話のライフラインは全て切断され、上越新幹線が脱線したと繰り返し報道されていました。上空からヘリが暗闇の震源地を捉えていました。
このとき恐怖で青くなりながら、災害に対する備えを何もしていなかったことを悔やみました。ともかく水だけは汲めるだけ汲んでおき、お風呂のお湯も下げませんでした。
冷蔵庫には犬用の食事がまだ十分あります。震災は地域限定ですから2−3日しのげればなんとかなるものです。
夜は恐ろしくて服のままベッドへ入り、腕に時計を、枕元にバックを置いて寝ました。
余震は一晩中続きました。

10月26日、震災から3日目のことです。
行きつけの獣医さんへワクチンを受けに行ったところ、山古志村から搬送された大型犬に出会いました。犬は地震により犬小屋の鉄製の扉に足を挟まれて大怪我したのです。
ところが電気、水道、ガスのライフラインが切断されたことにより、中越の獣医院は全て手術が不可能。一刻の猶予も出来ないため、犬は緊急にこちらの下越地区へ運ばれました。
このとき初めて、「病院はライフラインが切断されたら営業できない。」
ことに気づきました。これでは飼い主もペットも、怪我や病気の手当てが受けられません。
他にも被災したペットの受難は尽きませんでした。
山古志村の犬は救助の自衛隊のヘリに乗せてもらえませんでした。

さらに、原則として大多数の避難所はペットお断りでした。
また例外的に、廊下で寝泊りせよということで許可された避難所もありましたが、
犬猫が臭い、泣き声がうるさいなどの苦情が寄せられ、退去させられました。
また大混乱の中、避難所から愛犬の入居を断られた女性が、家族や犬と車中で避難生活を送るうち「エコノミークラス症候群で亡くなる。」という不幸がありました。
「いざとなれば何とかなるだろう」
「誰かが何とかしてくれるだろう」
というのは、ある程度情報がいきわたって落ち着いた頃となります。
7日目にようやく十日町のペットショップの敷地に「被災動物保護センター」が発足。
また動物愛護協会中越支部が避難所にペット専用のテントを設けたのは、震災から2週間後のことでした。

新潟県中越地震・被災動物の支援活動について↓
現在でも余震が続き、被災地では今でも車中で寝泊りしているペットと被災者がいます。
避難所はお年寄りや子供などが優先です。災害時、健常者にしてペット連れは自分でサバイバルするよりないのです。
新潟県中越地震からの教訓
ペットがいてもいなくても、災害に備え最低限これだけは用意したいものです。
絶対的常備品
1.現金 2.車のガソリン 3.ケータイ電話 4.水

大震災の場合震源地は電気、ガス、水道、電話のライフラインがストップします。当然カードでの決済は利かなくなり、すべて現金払いとなります。最初の日「食料がない!」と言われていましたが、食料は売っていました。着の身着のままで避難しためキャッシュがなく、買えなかったのです。2−3日しのげる現金は非常用の袋に入れておきたいものです。車のガソリンは常に満タンにしておくこと。これは獣医さんで忠告されました。避難場所が車の場合、車を動かさずとも冷暖房など使用します。

今回もガソリン不足が叫ばれました。道路が寸断され供給がストップしたからです。ついでに電気製品を車中で使用できるアダプターもあると良いでしょう。は申すまでもありませんが、汲み置きでもあればトイレを流す、洗濯するなど可能です。ケータイ電話とアドレス帳。情報から隔絶されずに済みます。今回ペットにも非常袋を用意しなければ!と痛切に感じました。そこで

 

くっくちんの備えあれば憂いなし スバリ教えます!
「ペットと災害」について以前から提唱なさっていたワンズテイル代表
ドックトレイナーのくっくちんに相談しました。
【自分の命を守ること♪】

災害時に犬を救う為には、まず自分が生き残っていなければ、何もできないのですものね。

【ペット用非常袋】
懐中電灯、毛布、ホッカロン、タオル、バスタオル、新聞紙、ティッシュ、紙皿、ペンチ、等、多くがヒト用の避難グッズと、共用出来るものです。その他に、下記のものが御参考になれればと思います。
【水】
米国では、犬1頭平均1日1ガロン(3.78リットル)というのが、目安になっているそうです。災害時の事情により異なってくるのはもちろんですが、家庭内に、1週間分の水は、準備されておくとよいと思います。
【フード】
いつものフードを予備にストックするようにして、回転して与えるようにしましょう。(酸化しないよう、保管場所、保管期間に注意)高品質の缶詰も、犬用のリュック等に準備しておくとよいでしょう。
【名 札】
室内にいる時も含めて、いつも、必ず、名札を付けておきましょう。
名札は、いざという時に、命を守り、再会の糸口になります。IDカプセル式のものは、予防注射の最終接種日、慢性病の際の投薬の薬名や、老犬などの注意点や、幾つかの緊急連絡先(災害地では電話回線のパニックも考えられます)など、様々な情報を書き込めて便利な反面、ネジがゆるまないように、常にきちんと確認しておくことも大切です。
【予備のリードとカラー】
常日頃、首輪を装着しておきましょう。リードも、常に手の届くところに置いておくほか、避難グッズの中にも首輪、リードを入れておきます。
掛かり付けの獣医師の名前と連絡先、幾つかの動物病院の連絡先  必ず、緊急リストに書き込んでおきましょう。怪我や病気の際、すぐに連絡がとれるように配慮しましょう。
【救急セット・応急処置の本】 
慢性病等で、常備薬のある子は、獣医師に正確な薬品名を聞いておき、保存状態を考慮しながら、可能なストックを心がけて下さいね。
【足の保護】
がれきやガラス破片等の散乱が予測されるので、ドッグシューズを準備されると良いと思います。災害救助犬等が使用する本格的なものを準備されれば一番でしょうが、ベビーソックスなどの足裏に皮を縫いつけて、足首にマジックテープを付けたもの等で、良いと思います。災害時以外でも、足裏を怪我した時に使えます。
【水入れ、餌入れ、ブラシ、スプレー】
【自分の犬について、必要な情報を書き込んだメモ】
自分が側にいてあげられるとは限りません。フードの種類や食事の時間、回数、量、それから病気のことや、その子に対して伝えておきたいことをメモにしたノートをご家族の方みんなが分かる所に準備しておきましょう。
 【アウトドア用のキャンプセット】
犬連れの場合だと、避難所で受け入れてもらえない場合も、想定されますので、車での移動が可能な場合には、キャンプセットがあると、大変に助かると思います。
 
災害後は、犬もヒトと同じように、小さな物音にも過度に怯えたり、食欲を無くしたり、急に触れられることを嫌がるようになったり、隅に隠れて閉じこもったり、ストレスによって、さまざまな問題行動を起こすことがあります。

災害時に愛する家族を失ったり、怪我をしたりしたら、より一層、心の傷は深いかもしれません。焦らないであげて、少しずつ、心の傷が癒えるまで、時間をかけて、向き合ってあげましょう。 
byくっくちん
ワンズテイル    http://www5a.biglobe.ne.jp/~wantail/
http://www5a.biglobe.ne.jp/~wantail/cpr/cpr004.html   災害!微に入り細に渡り